種イモでなく種から育てるジャガイモの世界的リーディングカンパニーを訪ねるために、オランダ東部にあるNijmegenという町を訪れた。技術的、専門的な話は専門誌に譲り、ここでは魅力的な町Nijmegenについて語りたい。
Nijmegenはほかのオランダの街とは少し違う。それはオランダ人によって造られた町ではないからだ。ライン川の周辺にあり、1世紀頃にローマ帝国の前線基地が置かれた地、つまり古くから存在している。そのため坂や丘があり、道路も畑もまっすぐではないのだ。
今なお、混合農業を行っている地域で、かつては養豚、果樹(リンゴや洋梨)と畑作作物を組み合わせていた。専業化の推進で、他の地域で専業化が進む中、この地では今なお混合農業が一般的だ。南部地域で養豚の専業化が進んだことで、Nijmegenとその周辺地域では、養豚が酪農に代わった。しかし、その規模は20、30頭前後と小中規模である。これは地形的に農地の集約化が相対的に難しいことも関係しているのだろう。また、河川流域では重粘土質の土壌で、決して恵まれた栽培条件ではないことも関係しているだろう。果樹作物についても、収穫は手作業で行なっているという。
また、この地域には「自然」がたくさんある。
森林を見て「ここには自然があるね」と私が言うと、
Nijmegenで生まれ育った育種会社の担当者が「1950年代に植えた”自然”だよ」と言う。
森林は市民、市、会社などが管理を行っているそうで、林業という職業は存在していないのもおもしろい。
オランダの”本来の自然”というのは、沼の周りにHeide(Erika)という荒地に咲く紫色の花の絨毯が咲き、少しだけその周辺に木がある景色を指すのだという。
(Pixabay)
そういえば、留学時に同じく東部のArnhemでホストマザーに連れて行ってもらい、Heideの中をピクニックしたな、そんなことを思い出しながら帰路についたら、電車がキャンセル。帰る方法が見つからず途方にくれるのであった。