効率化

【Column NL 2024】効率化で生まれる会話 2024.8.1

by 紀平 真理子

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久しぶりに乗った飛行機は色々変わっていた。

荷物の預け入れ手続き、シール貼り、荷物の預け入れも自分自身で行い、従業員が重いものを持つシーンはなかった。ちなみに、機内で荷物を上にあげるのもニコニコと見守ってくれる。

食事やリフレッシュ以外でフライトアテンダントが歩き回ることはなく、おそらく食事2回、リフレッシュ(サンドイッチ)1回、ゴミ集め各2回の合計9回のみ。その時間も明確に表示されていて、どのタイミングで食事が出てくるのかが乗客もわかる。しっかり休憩も取れているんだろう。

機内の後ろで飲み物やお菓子のセルフサービスはあった(これはアナウンスがあったわけでなく、他の人が持ってきているのを見て聞いたのでわかった笑)

子供用のグッズも、「もらえる?」と聞いたのでもらえたが、聞かなかったらもらえなかった。

機械化、デジタル化を「今ある業務を置き換える」ではなく、大胆に削る感じが潔いと思った。コアだけ残す感じ。そうなると、冷たい印象を持つと思いきや、色々不足している箇所を埋めるように乗客同士のコミュニケーションが生まれていた。

たとえば、私がトイレットペーパーを使い切ってしまったので、次の人に「ないよ」と言ったら、「ああ、なんて重要な情報をありがとう」と見当たらないフライトアテンダントを一緒に探すことに。知らない人と何気ない会話(素敵な出会いといよりも、必要に迫られて)をした。

さらに、フライトアテンダントとも何気ない会話をするようになった。帰りのフライトではコーヒーが飲みたくてもらいに行ったら、「フレッシュコーヒーを作るから3分待っていて!」と言われ、その間に(プラスαの時間)まるで偶然同じ電車に乗り合わせて適当に話し続けるかのようにたわいもない話をした。機内食の提供時にも、違うフライトアテンダントから「子供は何歳?」と聞かれ、そこからなぜか子育て話に花が咲き、2、3分話していった(サーブ中)

機械化・効率化したあとの世界には観察と会話が重要なのかもしれない。サービスについも全員に最低限の画一的なものを提供することから、柔軟で偶発的なサービスをより重視するようになったのだろうか。

画一的で冷たいイメージもある機械化や効率化だが、気持ちの余裕が生まれることで、かえって温かいコミュニケーションが生まれる現象を垣間見た気がする。